旅するミタブン

文芸誌『三田文學』の歴史、ゆかりのある作家を巡る小さな旅の記録です。

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日本近代文学館へ 「芥川賞・直木賞原稿コレクション展」

今回の「旅するミタブン」は駒場にある日本近代文学館へ行ってきました。
2010年に慶應義塾大学旧図書館にて開催された「三田文学創刊100年展」では、大変お世話になりました。

現在「芥川賞・直木賞原稿コレクション展」(9/27~11/22)を開催中です。

20141002 日本近代文学館 外観

1935年に始まった両賞は今年の夏で151回を数えました。
80年、そしてなお続いてゆく歴史を観ることができます。

非常に内容が濃く見どころの多い展示会でした。ここでは一部だけご紹介いたします。


まずは両賞の根幹をなす菊池寛と芥川龍之介、直木三十五それぞれの関係が分かる展示。
作家同士、あるいは出版社の代表と作家という関係だけでは片づけられない、ああこういう友人が欲しいなあと思う両者の関係が伺えます。

20141002 日本近代文学館 芥川弔辞

菊池寛のことを詠んだ芥川直筆の俳句。そして芥川の葬儀で読まれた菊池の直筆の弔辞。菊池は途中から嗚咽で声を詰まらせてしまったそうです。


第1回芥川賞候補となり下馬評では当選を予測されながら受賞を逃した太宰治のコーナーもあります。
芥川のことが大好きで、彼の名前を何度も書いた学生時代の太宰のノート。
受賞者発表の前に故郷の友人に宛てて、自分が受賞出来そうであると書いてしまった葉書。
こういう資料を観ると、太宰にファンが多い理由が分かる気がします。
この時代は1度候補になると、もう受賞資格がなくなるとされていました。
太宰がもし芥川賞を受賞していたらどうなったのでしょうか。

20141002 日本近代文学館 太宰.


三田文学に縁のある作家たちも両賞を受賞しています。

「人生の阿呆」で第4回直木賞を受賞した木々高太郎は三田文学の編集委員をつとめられ、その間に木々さんが見出し、三田文学で作家デビューした松本清張は「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞しました。

柴田錬三郎も三田文学で処女作を書き、同誌に発表した「イエスの裔」で第26回直木賞を受賞します。
三田文学118号でも特集した「第三の新人」でお馴染みの安岡章太郎、遠藤周作、吉行淳之介は芥川賞を受賞しています。

20141002 日本近代文学館 安岡

20141002 日本近代文学館 吉行

今回の展示では作家の受賞当時の写真を見ることができます。遠藤周作の自信をのぞかせる笑顔が印象に残りました。

20141002 日本近代文学館 遠藤.


展示されている受賞者の言葉、選評を追っていくと、芥川賞、直木賞の歴史は日本の作家たちのひとつの流れであることもよく分かります。
例えば、選考委員の坂口安吾に推された松本清張は後に選考委員になり、そして井上ひさしを推挙し、大きな期待を寄せました。
川口松太郎は池波正太郎を「直木賞を与えれば作家的自信を生み大成する機会を与え傑作を作りだす」と称賛すれば、池波はそれに違わない活躍を後にみせることになります。
作家から次の世代へと手渡されて行くバトンを見るような思いがしました。

20141002 日本近代文学館 井上


最後にひとつ、浄書のことをご紹介します。
両賞の受賞者に受賞作の冒頭部分を原稿用紙に手書きで書いていただいたものを浄書といいます。以前は文藝春秋社から受賞者へ依頼していたそうですが、現在は日本近代文学館からお願いしているそうです。
最近はパソコン等で原稿を書く作家が多いですが、浄書は手書き。肉筆を見ることができる貴重な機会です。

20141002 日本近代文学館 浄書


日本近代文学館にあるお洒落な喫茶室「BUNDAN」では、両賞の受賞作にちなんだ特別メニューを食べられます。

直木賞からは浅田次郎の「鉄道員」。主人公の乙松が少女と向き合う最後の食事からインスピレーションを得たという
『ほっけの干物と冬野菜の煮付け定食』

芥川賞からは池澤夏樹の「スティル・ライフ」。友人・笹井が主人公に作った(と思われる)
『ブイヤベース』
両品ともに
単品/¥1,200
ドリンクセット/¥1,400

そして、メニューご注文の方に展覧会無料チケットプレゼントとのことです。


秋も深くなるこの季節。作家から作家へと受け継がれていく文学のバトンに思いをはせながら、駒場公園をゆっくりと散歩するという一日はいかがでしょうか。

20141002 日本近代文学館 駒場公園.


「芥川賞・直木賞原稿コレクション展」
開館時間 午前9:30~午後4:30(入館は4:00まで)
観覧料 一般200円 (20名以上の団体は一人100円)
休館日 日・月曜日、第4木曜日(10月23日)

日本近代文学館への行き方(リンクを貼ってあります。クリックしてください)
 京王井の頭線、駒場東大前駅(西口)より徒歩7分


reported by kurosuke
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  1. 2014/10/09(木) 16:10:29|
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Author:旅するミタブン
『三田文學』は明治43年に創刊の文芸誌です。
現在は季刊で年4回、1月、4月、7月、10月に発売されています。

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